はじめに

急性期に勤務する看護師は、毎日分刻みの業務に追われている方が多く、年数を重ねるごとに、業務や責任も増えていきます。そんな忙しさの合間に、ふと自分の働き方や看護師としての在り方、将来について、疑問や不安が頭をよぎり、転職を考えた経験がある方もいるのではないでしょうか。そこで、今回は、自分の働き方について悩み、急性期から慢性期へ転職したAさんの体験談をご紹介します。働き方や在り方を見直すためには、転職もひとつの手段です。「忙しさに疲れた」「体調を考えてゆっくり働きたい」と考えている看護師さんは、ぜひ参考にしてみてください。

 

Aさんのプロフィール紹介

20代後半で急性期病棟から慢性期病棟に転職し、現在2年目です。
看護専門学校卒業後は、ERがある病院へ入職し、そこから4年間、急性期病棟で看護師として勤務していました。ですが、4年目を少し過ぎた頃、今の生活や看護師として忙しく働く自分について疑問を感じはじめ、悩んだ末に転職を決意しました。新卒時から同じ病院に勤務していたため、当然ながら転職経験はありません。そこで、いろいろと調べながら、現在の慢性期病棟へ転職しました。

 転職のきっかけ

転職のきっかけは、急性期病棟の忙しさや重なるプレッシャーから体調を崩してしまったことでした。

そもそも私が、急性期看護師として入職した理由は、看護学生の頃にみた、急性期病棟で働く看護師の姿が印象的だったからです。独特のピンと張られた空気のなかテキパキと業務をこなす看護師はとてもかっこよく見えました。以降、急性期看護師になることを決意し、卒業後はERのある病院に入職しました。3次救急指定病院ということもあり、1〜2年目はもちろんのこと、3年目、4年目もひたすら忙しさ追われ、気づけば、後輩たちの指導する立場になっていました。そんな忙しい毎日のなかでも、やりがいを感じる場面はたくさんあり、CVカテーテル介助をはじめてスムーズにできたとき、人工呼吸器の扱い方や見方を覚え、患者さんの状態を把握できるようになったとき、急変時も冷静に判断し対処できるようになったとき、経験から増悪や急変の可能性を報告できるようになったときなど、あげればきりがありません。もちろん、急性期ならではの忙しい業務をテキパキこなすこと自体にもやりがいを感じていました。
ですが、この頃になると、自分のなかで燻っていたもうひとつの思いがじわじわと顔を出しはじめていたのです。それは、「患者さんともっとゆっくり関わりを持ちたい」という思いでした。プリセプティもひとり立ちし、ある程度余裕を持ってひと通りの業務をこなせるようになったことで、考える余裕が多少なりともでてきたからかもしれません。それでも、まだまだ急性期で学びたい、まだ仕事に追われていたいとの思いのほうが強く、あまり深く考えないようにしていました。ですが、4年目になり半年がすぎた頃、頻繁に体調を崩すようになっていったのです。もちろん、自己管理はしっかりしていたつもりです。けれど、業務以外にもやるべきことが増え、疲れが抜けきれず、責任ある仕事は増えていくばかり。そして、特別忙しかった1日を終えたある日、ふと「体調を崩してまで得るやりがいとはなんなのだろうか」という疑問が頭をよぎったのです。それからは、自分の働き方や、今後について真剣に考え始めました。そして、自分の体調や今後の人間関係を考慮した結果、「転職」という道を選びました。

転職活動の進め方

転職を考え始めた私は、まず、転職経験がある友人に相談しました。先輩達や上司に相談してもよかったのですが、ただでさえ人手不足の時代です。とても相談できるような雰囲気ではありませんでした。相談した友人からは、「なぜ転職したいのか」「転職先でどんな看護をしたいのか」「譲れない条件や優先したい条件はどれか」を考え、自己分析をして転職先を絞ったほうがいいと言われました。このアドバイスは、友人が転職する際に、転職サイトのコンサルタントからもらったとのことです。友人の勧めもあって、私もその転職サイトに登録してみることにしました。登録してみると、求人数も多く、コンサルタントがもつ情報の有益性が高かったため、自己分析をもとに自分で求人を探しつつ、コンサルタントから情報やアドバイスをもらいながら転職活動を進めていくかたちとなりました。

現在(慢性期で自分にあった看護を実践できている)

体調を崩したことがきっかけでの転職でしたが、結果として、「患者さんとじっくり関わりたい」という思いを叶えることができました。確かに、急性期のような慌ただしさや緊張感はありません。むしろ患者さんの状態もあまり変化はないため、口腔ケア、吸引な
どのルーティン業務が多くなりがちです。物足りないかと言われれば、そう感じる部分もあります。急性期が恋しくなることもあります。けれど、患者さんとじっくり向き合い、「より良い状態にするため、またはそれを維持するための看護」「退院後の生活を考えた看護」を提供することができるようになりました。業務を通してのやりがいではなく、患者さんとの関わりを通したやりがいを感じることができることがとても嬉しいです。スタッフ同士もピリピリすることがないため働きやすく、転職して本当によかったと思っています。

まとめ

いかがだったでしょうか?今回、Aさんは転職に成功したようで、本当によかったです。ですが、なかには転職に失敗してしまう方もいます。リスクを下げ、成功率をアップさせるためには、Aさんのご友人が仰ったように、まずは、しっかりと自己分析を行い、目的や理由を明確にすることが大事なのではないでしょうか。そして、求人情報を詳細に調べたり、院内見学を行い、自己分析の結果にあうところをピックアップしてみるのもいいかもしれません。もし、自己分析の結果、今の職場で解決できるようであれば、転職せずに頑張ってみるのもひとつの方法です。現状のみに囚われず、先を見据えて選択するようにしてくださいね。